ギャラリーイベントレポート

2月26日(土)、東京都千代田区のアートセンター「3331 Arts Chiyoda」にて、東アジアの共創をテーマにした写真と言葉展、「青年たちが綴った東アジアへの想い-写真と言葉展-」を開催しました。

iEA(I am East Asia)が企画・運営にあたり、展示物の協力ではBai Xian Asia Institute奨学生・関係者、iEAプロジェクト賛同者の約23名、協力団体には東アジア平和大使プロジェクトなどを運営する社会教育団体、NPO法人Wake Up Japanにご参画いただきました。

今回開催した写真と言葉展のテーマは、「私たちの東アジア」です。日本や中国、韓国をはじめとする東アジア諸国は、地理的、文化的にも近い一方で、政治や歴史的な原因により、どこか遠い存在に感じることがあります。本来、民間交流によって解決されるはずの溝も、コロナ禍によってさらに深まり、物理的な交流の目処も立たないまま、ただ時間が過ぎ去っていきます。2019年末に、時の総理大臣である安倍氏が、中国・成都の地にて語った「日中韓は三国時代の魏、呉、蜀ではなく、相争う者同士ではない。新しい三国時代を築いていくべき」という願い、そしてその後開催されるはずの交流活動も、残念ながら新型コロナウィルスの流行、そしてその後の国境閉鎖により余儀なく中断されています。

しかし、こんな厳しい状況下でも東アジア交流のために奔走する人は多く、民間交流という燈を灯し続けるために日々活動されています。出入国在留管理庁によると、日本には東アジアのルーツ(日本以外)を持つ方が約100万人いるといいます。私たちはそんな彼ら/彼女らが想う「私たちの東アジア」をテーマとして取り上げ、写真と言葉展を開催しました。

展示会は「共生・共感・共想・共創」という四つのコンセプトで展示を実施。

まず、一つ目のコンセプトである「共生」は、東アジアに留学や仕事で渡航経験がある、または東アジアで生活する方々に協力を仰ぎ、写真パネルを通じて、彼らの思い出と共に、景色や現地で出会った人々の写真をパネルに載せてもらい、それぞれの写真にまつわるストーリーを掲載していただきました。国籍や背景が異なる人々が、同じ東アジアという地域において共生し、お互いの文化や歴史を理解しながら、「私たちの東アジア」を形成していく、そんなストーリーをベースにこちらのセクションをデザインしています。

二つ目のコンセプトは「共感」。同じ東アジア地域で生活する人々でも、異なった文化や歴史的な背景で生まれ育っているため、互いの国に対して異なる価値観や認識を持っています。このセクションでは、私たちの故郷である「東アジア」のために奮闘する人々を取り上げた動画を流し、相互理解の促進を試みました。

三つ目のコンセプトは「共想」です。前述の「共感」は共通の価値観や認識を形成することにより、相互理解を促進するコンセプトでしたが、「共想」は異なる価値観、認識も大事にし、社会・経済・政治・文化といったテーマ分けをした上で、アジア各国の協力者にそれぞれの認識を問いかけた内容になります。

最後のコンセプトは「共創」になります。共に生き、共に感じ、共に想う。そして最後には共に創る、という内容をベースに、NPO法人Wake Up Japanの協力のもと、アクションリサーチ型の展示として設置。参加者の皆さんに、「東アジアに住む私たちがより良い関係性を作っていくために、特に重要な役割担うのは何だと思いますか?」等の問いかけを設置し、回答を募りました。

わずか半日の開催となりましたが、学生から社会人の方まで、約39名の方々にご来場いただきました。今回は百賢アジア研究院の奨学生が企画・運営する出版プロジェクトの一環として、研究院から多大なご支援をいただき、今後はオンラインにて「私たちの東アジア」に関する出版プロジェクトもスタートする予定です。